三章 『AL作戦』

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「――運ぶ? どこに?」  聖地――? 何のことだ? 「いえんな」 「じゃあ、質問を変えよう。お前は何者なんだ? 俺はアルディス軍のハンスだ――。ゼノビア兵には見えないが」 「私たちは何者でもない」  おかしなことをいい出した。  しかも、私――? 「そんな人間がいるか。人として生まれ落ちたなら、身分と名前くらいはあるだろ?」  それでも男は、簡単に口を割ろうとはしなかった。しかし最後にひと言だけ、こう告げた。 「ヴァルキリー」 「え?」 「――とでもいっておこう。あえて名乗るなら、な」  表情を変えずにそういうと、男は消えていった。人間一人を担いでいるとは思えないほど、機敏な動作だった。  ヴァルキリー?  また、謎の組織が現れたのか?  死体を持ち帰るなどという、趣味の悪い組織が。 「――と、それどころじゃない」  シェイラとルカに遅れをとってしまった。  ハンスはすぐに、アルデウトシティの中心部に向かって、足を動かし始めた。
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