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二人と別れてしまうと、少しだけ孤独な気持ちにはなる。
ここからは自分の命を守れるのは、自分だけだ。無論、初めからそのつもりで取り組んでいるが、後ろ楯があるのとないのとでは、やはり気持ちの面で変化はある。
廃墟と化してしまったような道路を進んでいく。ところどころに、戦死した軍人の姿が見える。
そうやってまた一人、白の軍服を着た遺体と遭遇した。ゼノビア兵のものだ。その遺留品を漁ってみる。レヴォルツに変わるような、手頃な武器を探すためだ。
彼ら歩兵部隊が一人一丁ずつ持たされている銃が近くに転がっているのだが、これではいかんせん大掛かりすぎる。
両手で扱わなければならないこのタイプの銃は、ハンスには使えない。しかも銃というのは、弾数に制限がある。撃ちきってしまうと、また新たな武器を探さなければならない。
さて、どうするか――。
そのときだった。
「――っ」
ハンスは反射的に、ステップを踏んでその場を離れた。
同じタイミングで、ハンスが先程までいたちょうどその位置に、銃を振り下ろすゼノビア兵の姿が見えた。
危うく隙を突かれるところだった。防御魔法が残っているので即死とはいかないまでも、ダメージを受けて後手に回っていただろう。
しかし今は、逆にチャンスだ。
「らっ!」
レヴォルツを振り抜く。マナの強化があれば、まだ折れはしないはずだった。
「ぐふっ……!?」
男の身体が後方へ吹き飛ぶ。しかし致命傷ではない。
「く……そっ……」
立ち上がろうとする兵士に、さらに素早く接近する。持っている銃を、まずは横薙ぎではじいた。男の手から離れたそれが、瓦礫の中を転がっていく。
トドメとばかりにレヴォルツを振り下ろそうとした。しかしそのときには、ゼノビア兵は体勢を立て直そうとしていた。
さすが相手もプロの兵士だ。思い通りにはいかない。
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