三章 『AL作戦』

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 その道中、何人かのゼノビア兵と交戦した。被弾もいくらかしてしまったので、防御魔法は消耗している。それを自覚して、覚悟を決めて進まなければならない。  そしてついに、主戦場へと到達した。  瓦礫の影に身を潜めて、まずはようすを窺ってみる。すぐにでも加勢すべきなのだろうが、あいにく武器を失っているのだ。  足手まといにはなりたくない。いや、なるべきではない。  余計な気を遣わせてしまうくらいなら、いないほうがマシなのだ。戦場とはそういう場所だ。  もどかしさは一度捨てて、観察をする。  まさに敵味方入り乱れての交戦だった。その中央に、自走兵器はいる。その親玉を守るように、ゼノビア兵たちは隊を成している――いや、成していたのだろうが、今はもう、規律は感じられない。  とにかくどちらが先に敵を全滅させるか、そういう戦いだ。人海戦術に出た時点で、こうなることは致し方ないところなのだろう。  そしてアルディス軍の中には――自走兵器にたどり着いたブレイバーもいるようだ。  自走兵器の破壊にあたり、そして反撃を受けている――。  そのブレイバーたちの中に――。  その中に――。  ユキの姿を見つけた――。  その瞬間は、目の前の光景を現実のものとして受け入れるのが難しかった。現在、このノアという世界のすべてを引っくるめて、もっとも危険な位置に、ユキはいるのだ。  最凶最悪の、自走兵器の破壊にあたっている。  助けに入らなければ――。  ほとんど本能的にそう思った。  けれど――ハンスには、兵器への対応手段がない。折れかけのレヴォルツと、ゼノビア軍から奪った、魔装もされていない武器では、どうあがいても太刀打ちできない。  魔法に秀でた、その技能の頂点であるブレイバーパラディンの部隊ですら、現状手を焼いているくらいだ。  やはり巨大な力に対抗するには、現有の装備と戦力では、厳しいのかもしれない。それこそ、究極魔法のような、人智を越えるような力を手にしなければ。
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