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そういえば――。
そこでようやく、ハンスはある不足に気づいた。
神徒レジーナは?
まだ到着していないのだろうか?
戦況を見るに、そうなのだろう。近隣の街に放たれたらしい、別の自走兵器の破壊に駆り出されていて、そっちが終わっていないということか――。
その自走兵器は――以前、ゼーファスの命を奪ったあの一機と、外観の上では似たような作りをしている。
腕に備えた巨大な主砲や、規格外のサイズの機銃を装備している。
その装備のほうは、少しばかりの改良が成されているのかもしれない。
もっとも危険なのは、主砲による一撃だ。おそらくこの場の全員を吹き飛ばしてしまうくらいの、強大な威力を有している。
被害状況を見る限り、その主砲は、まだ一度も発動していないのかもしれない。地面を抉るほどの威力を誇るあの主砲が放たれれば、確実に地形が変化する――。
それまでに破壊して欲しい。
でなければ、ユキが――。
勝手な願いだ。こうして手をこまねくしかないハンスには、何をいう権利もない――。
ただ、そうやって隠れていられたのも、僅かな時間だった。ゼノビア兵の流れ弾によって、身を隠していた瓦礫が崩れたのだ。
ハンスを見つけた兵士が迫ってくる。
もう、やるしかない。レヴォルツが破壊される瞬間まで、いや、この命が失われるその瞬間まで。
「だあっ!」
「ぐっ……」
鞘ごと、腰のベルトから外して、そのまま振り抜いた。ゼノビア兵は卒倒する。
鞘とて金属製だ。ダメージを与えることはできる。とにかく、レヴォルツの延命に努めながら戦うしかない。
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