三章 『AL作戦』

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 砂埃が止み始めると、ようやくあたりの様相が見えてきた。  大地が湾曲していた。大量の土が盛られたようになっている。建物や瓦礫などお構いなしに、その上に黄土色の粒が覆い被さっている箇所があちこちにある。  こんな状態になった原因は想像できた。主砲の爆発によって抉られ、巻き上げられた土砂が、この場所に降り積もったのだろう。  それだけではなく――その場にいた兵士すべてを吹き飛ばした――のかもしれない。  離れた位置にいたハンスでさえ、爆発によって巻き起こった突風に、吹き飛ばされてしまったくらいだ。  そして、ユキはその中心近くにいた。その瞬間は見ていなかったが、爆風に巻き込まれたことは間違いない。  ハンスの足は自然と動いた。ユキの無事を確認するために。  主砲を撃ち終わった自走兵器は、唯一の欠点ともいえる、インターバル時間に入っているはずだった。そしてゼノビア兵たちも、今は爆発の余韻によって隙ができているはずだ。  たとえばシェイラなら、こんな場合でも優先させるのはアルディス軍の勝利なのかもしれない――。  真っ先に兵器の破壊に向かう姿が想像できた。それがもっとも正しい判断なのだろう。  ただ、ハンスにとってのアルディス軍は、人生のすべてではない。それに折れかけの魔剣だけでは、兵器には立ち向かえない――。  何かにつけて、今はレヴォルツの破損を言い訳にしていると気づいていた。が、そんなことはどうでもいい。  やはりユキの無事が最優先だった。爆発から考えて、彼女が吹き飛ばされているだろうと予測される方向に急いだ。  主砲の影響によって、さらに瓦礫化が進行してしまって、もはや街ともいえないような大地を進んだ。人工的なものをすべて破壊し尽くして、更地に戻ったといっても過言ではないくらいだ。  遠くに自走兵器が見える。今は活動を止めているらしい。  しばらく行くと、地面に尻餅をついたパラディンの黒い軍服を見つけた。しかしユキではなかった。
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