序章

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 本当は、勇気なんかじゃなく、ただ単純に、口にすることが恥ずかしかったのだ。  そんな心も、レジーナは悟ったのかもしれない。 「私にはいますよ」  明瞭快活に、レジーナは宣言した。 「私もね、実をいうと、昔はブレイバーの一人でした。紆余曲折があって、最終的にはパラディンの任を拝受することになった。――そのブレイバーだった頃に、一緒に小隊を組んでいた同僚たちがいます。私にとっては彼らが、大切な存在です。今でも大切な友人であり仲間です。立場が変わっても、たとえ彼らが私のことをそんなふうに思っていなかったとしても、私は彼らを大切だと思っています。このアルディスとともに、彼らの人生を守ることが、私の目標であり、夢であり、使命です」  凛としてレジーナはいい切った。  あまりにも偉大すぎて、いったいどんな言葉を返せばいいのか、ユキにはまったく思い浮かばなかった。 「――その仲間は今もブレイバーなのですか?」  結果的にこんな外れた質問をしてしまった。 「いいえ、すでに引退していますよ。一人は今も、アルディス軍の職員として働いているけど、もう一人は街の商売人になっちゃいました。――なんたって、もういい年だから。人間は三十歳を超えると、マナを扱う能力がうんと落ちるでしょう?」 「あ、はい。でも、レジーナ様はぜんぜん、そんな年には見えないんですけど……」 「そうですか? 私はこれでも、三十四歳なんですけど……」 「三十四!?」  声が変に裏返ってしまった。  そんなふうには全然見えない。下手をすれば、十代といっても、うまくいけば騙せそうなくらいのだ。若々しい見た目だ。  それも神の力を授けられた、神徒たる所以なのだろうか。
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