三章 『AL作戦』

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 あとは――。 「けっ!」  舌打ちをしながらも、男は次の瞬間には、悪意に満ちた笑みをこぼした。 「ならこの身体で相手してやるよぉお!」  叫びながら迫ってくる。まったくの丸腰だった。拳を振り上げているだけにすぎない。ついには悪あがきか。 「終わりだ!」  男が迫ってくるタイミングに合わせるようにして、ハンスはレヴォルツを横一線に凪いだ。  が――。  その途中で、鈍い衝撃に襲われた。何か固いものを切ろうとしたような。  男が右腕で、レヴォルツの振りを受け止めていた。ふつう、マナをまとった魔装武器を生身で受けられるはずはない。ということは――。 「残念だったなぁ! オリハルコンの小手だぜ」 「くっ!」  同時に、レヴォルツの刀身部分から、パラパラと破片がこぼれ落ちた。限界か――! 「だあっ!」  男か腕を使ってレヴォルツを打ち払う。  その瞬間に――急激に腕が軽くなった。負荷が少なくなった。空気抵抗の感覚も変わっていた。  それで半分、いやほとんどは理解ができていた。視線をレヴォルツに送ったのは、その残ったわずかな可能性をこの目で見て排除するためだった。  レヴォルツの上から三分の一が消失していた。鋭さが消え去って、ギザギザとした無造作な先端部から、金属の欠片がボロボロと落ちていた。  ついにやられたか――。  いや、感傷に浸っている場合ではないのだ。 「死ねぇえぇっ!」  男が迫ってくる。ハンスは身構えた。  が――。  その瞬間に、赤色の何かが宙に飛散した。と同時に、肌に水滴が付着した感覚があった。
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