四章 化神の力

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「シャル、おまたせ」  深い考察に入りそうだったところで、待ちわびた友人の声が聞こえてきた。 「ソフィ。久しぶりですわね」  軽く挨拶を交わしてから、ソフィは給湯室へ飲み物を取りに行った。  こうして再開するのは、いつぶりだろうか。彼女のあどけない表情を見ただけで、心の奥のほうにつっかえた痼がすっと消えたような気がする。  やはりソフィは唯一無二の親友だ。それは今後も変わることなくそうなのだろう。  戦争が始まってすぐに、ソフィはアルディス国土でいうところの中央付近に設置されたベースキャンプに派遣されたのだ。そこで治療魔法部隊に加わり、怪我人の手当てに従事していた。  その後の戦況の変化でだんだんとアルディストン方向まで後退を余儀なくされたようだが、こうして首都に戻ってきたのは今回の防衛戦が始まってからのことだった。  アルディス軍はこの戦いに、一気攻勢を目論んでいた。医療チームが関わるほどの時間を与えることなく、ゼノビアの進行を短時間で跳ね返そうという作戦だった。  だからソフィにも、撤退の命令が下っていたのだ。  その戦いに、まさに今、決着がついたというわけだ。  神徒レジーナが発動した試作型『ラグナロク』によって、ゼノビア自走兵器最後の一機『デアフリンガー』を破壊することに成功した――と目されている。  おそらくこれから、別働隊が戦果の確認に向かうだろう。  もっとも、そこに何かが残されていればの話だが――。  おそらく試作型『ラグナロク』は、あらゆるものを焼き尽くすほどの絶大な熱量を放出したはずだった。  その爆心地から、想定では半径三キロメートル程は、灼熱のエネルギーによって、ほとんど形すら残らない状態に炎上し分解される。残されるものといえば、その熱以上の融点を持つ石や砂くらいのものに違いない。
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