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それでもいくつか、アルディス軍にとって、重要な情報を得られるだろうと思う。
たとえば、ゼノビアの有する神鉱物オリハルコンがその一つだ。神に与えられた鉱物なら、もしかするとラグナロクの衝撃に耐えうるのかもしれない。仮にそうだった場合、新たな研究テーマとなるだろう。
もう一つは、試作型ラグナロクの威力と効果範囲だ。
小規模実験による想定シミュレーションと、計算による値はすでに導き出せているわけだが、実際の効能については、やはり現実に起こった現象を確認するのが一番であり、それがもっとも正しい結果となる。
楽しみ、というと不謹慎かもしれないが、その結果を待ちわびるほどの興味があるのは、否定しようのない事実だった。
自分の算出した効果にどれだけ近い結果が出ているか、もしくは想像を越える威力を発揮しているのか――。
早く結果を持ち帰ってくれるとありがたいのだが。
もしくは――自分自身で確認に行くか――。
そこで、紙製の使い捨てコップから湯気を漂わせながら、ソフィが帰ってきた。女の子らしい上品な振る舞いで、シャーロットの対面の席についた。
それを見て少しホッとした自分がいる。良くも悪くも、この娘は戦争中でも何も変わることがない。
「アルディス軍勝利の報告はもう聞きましたか?」
「うん、もちろん。園内放送でも発表されてたよ」
「ああ、そうでしたわね」
そういえばさっき、魔研の建物内にもそんな放送が流れていた。すでに得ていた情報ということもあり、内容はあまり真剣に聞いていなかった。
「神徒レジーナ様が加わったとたんに勝利なんて、やっぱり化神の力はすごいんだね」
ソフィは目を輝かせた。この一般市民的な発言も、彼女ならば可愛らしく思える。実際の戦場はおそらく、もっと凄惨で泥臭いものなのだろう。
特に、最後の街、アルデウトシティの惨状は――。
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