四章 化神の力

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「アルディス軍は久しぶりの勝ちになるのかな?」  たしかに近々の戦線では、どれも敗退というに等しい戦果が続いていた。 「ただし、戦場になった三つの都市のうち、二つはすでに壊滅状態ですわよ」 「えっ?」  ソフィの表情が瞬時に暗くなった。そんなつもりはなかったけれど、やはり真実を伝えるべきだろう。 「特に、禁術が使われたアルデウトシティは、たぶんもう、ひどいことになっていますわ……」  いいながら、また頭が痛くなってきた。  これによって、いったい何人の生活が犠牲になったのだろう?  仮に終戦したとしても、アルデウトシティの住人たちには、帰る家がないのだ。  こうなることは、わかっていたはずなのに。ゼノビアに勝利する目的を果たすために、犠牲となるものが少なからずあることは――。 「禁術って、究極魔法、だよね?」 「ええ……。その試作型ですわ」 「試作型でも、そこまでの威力があるんだ……」  実際にどれほどなのか、ソフィにはたぶん、うまく想像ができていないのだと思う。 「究極魔法という呼び名は伊達じゃありません」  シャーロットとしては、こういう反応をされることは、ある意味誇らしいことでもある。それくらい、皆、魔法の力を見くびりすぎているのだ。  これがもしも試作型でなかったなら、もっと強大な威力を発揮していた――。  条件をつけないならば、その本家ラグナロクですら、すでに発動できる状況にあるのだ。ただ、その被害は計り知れない。
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