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「アルディス軍は久しぶりの勝ちになるのかな?」
たしかに近々の戦線では、どれも敗退というに等しい戦果が続いていた。
「ただし、戦場になった三つの都市のうち、二つはすでに壊滅状態ですわよ」
「えっ?」
ソフィの表情が瞬時に暗くなった。そんなつもりはなかったけれど、やはり真実を伝えるべきだろう。
「特に、禁術が使われたアルデウトシティは、たぶんもう、ひどいことになっていますわ……」
いいながら、また頭が痛くなってきた。
これによって、いったい何人の生活が犠牲になったのだろう?
仮に終戦したとしても、アルデウトシティの住人たちには、帰る家がないのだ。
こうなることは、わかっていたはずなのに。ゼノビアに勝利する目的を果たすために、犠牲となるものが少なからずあることは――。
「禁術って、究極魔法、だよね?」
「ええ……。その試作型ですわ」
「試作型でも、そこまでの威力があるんだ……」
実際にどれほどなのか、ソフィにはたぶん、うまく想像ができていないのだと思う。
「究極魔法という呼び名は伊達じゃありません」
シャーロットとしては、こういう反応をされることは、ある意味誇らしいことでもある。それくらい、皆、魔法の力を見くびりすぎているのだ。
これがもしも試作型でなかったなら、もっと強大な威力を発揮していた――。
条件をつけないならば、その本家ラグナロクですら、すでに発動できる状況にあるのだ。ただ、その被害は計り知れない。
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