四章 化神の力

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 三十分ほどかけて、ようやく目的のポイントが近づいてきた。このあたりになると、建物の崩壊がちらほらと見られる。  そういった建物はたいてい、壁の一部がえぐられていたり、大穴が空いていたりする。  原因は銃弾や魔法によるものが主だろうが、もしかすると、試作型ラグナロクの爆風によって飛んできた瓦礫が衝突した痕なのかもしれない。そんな風景があちらこちらに目立つようになってきた。  やがて、今度は完全に崩壊した建物が現れ始めた。激しい銃撃戦でもあったのだろうか。進むにつれて、全壊の戸数がどんどんと増加していく。  ふとシャーロットは気がついた。足元を覆っている地面のようすが、先程までとは変わっていることに。 「ちょっといいですか!」  腰を降ろす。その勢いで、ナイト仕様の灰色の軍服のスカートがひらりと踊ったが、気にすることはなかった。  ブレイバー軍服のスカートはヒラヒラしていて落ち着かないので、その対策にスパッツを掃くというのが、シャーロットの、戦場に出る際の決まりだ。  地面に手を触れてみる。まるで石のように硬い。これはよくある一般的な土ではない――。  そうして調べているうち、この周辺には粒の細かい砂地が少なく、硬い大地の表面が一部露出していることがわかった。  ということは――。 「どうしたの、シャル?」 「ここ、地面の状態がこれまでとはかなり違っていますわ」  するとミーアが、あたり一面を見渡すように視線を動かした。 「このあたり一帯、全部そうみたいだな」  そして最後に、シャーロットを見た。凛々しいつり目の鋭い眼光に見つめられると、思わず緊張してしまう。
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