四章 化神の力

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「爆風で細かい砂が吹き飛ばされたからかな」  ミーアの意見に、シャーロットは無言で頷いた。 「わたくしも同じことを考えていましたわ」 「それって、ここまで爆発の衝撃が届いたってこと!?」  ソフィが上擦った声をあげた。 「どれくらいの範囲にひろがったんだろう?」 「それは、爆心地がわからないことには、なんとも……」  完全なる状態でのラグナロクは、効果範囲五キロメートルと推定されているが、試作型ラグナロクの効果範囲は、その威力が抑えられていることもあり、半径三キロメートルほどの試算だったはず。  けれど、仮に街の中心地付近が試作型ラグナロクの発動地点だったとするなら、ここまでは三キロメートルどころか、優に五キロメートル以上はある場所なのだ。  五キロといえば、完成版『ラグナロク』で想定していた効果範囲にまで匹敵する――。  あまりにも誤差が大きい。  いや、ここまでの乖離が生まれれば、もはや誤差という範囲を越えてしまっていて、試算間違い、設計間違いと判断されてもおかしくないくらいだ。  まさかその試算理論自体が間違っていたとでもいうのだろうか――。  けれどあの計算は、何もシャーロットだけが独断でやったものなどではなく、魔研所属の別の優秀な研究者たちともよくよく確認をして導き出されたシミュレーション結果だった。  だからこそ、人的ミスによって、そこまで誤差が生じたとは考えにくい。  万が一にもそんな誤差があったにしろ、シャーロットが責任を問われるわけではないのだが――。  いや――今はそんなことはどうでもいい。  責任がどうだとか、そんなことを考えてしまうこと自体、恥ずかしくなった。自分に都合が悪いことから逃げたい気持ちなど、断じてない。
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