四章 化神の力

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 けれど――。  現場で戦っていたブレイバーたちにとっては、三キロと五キロという、この誤差は重大なものだ。これでは、指示どうりに動いたとしても、退避に間に合わなかった者がいたかもしれない――。  ズキリと、胸が痛む。  頭がぼんやりとした。  いけない。  余計なストレスは柔軟な発想力と論理的思考を阻害する。今は目の前の役割に集中すべきだ。 「とにかく、爆心地を目指しましょう。そこにいけば何かがわかるはずですわ」  ミーアとソフィは同時に頷き、誰からともなく足を動かし始めた。  淡々と足を進めながらも、シャーロットの頭から、試作型ラグナロクのことが離れることはなかった。中心部を目指す道中も、考察は止まることなく続いていた。  もしも仮に――。  試算自体が間違っていなかったとするならば、この誤差が生まれてしまった原因として考えられる要素が、たった一つだけある。  それは他ならぬ、神徒レジーナの秘めていた能力だ。  魔法の効果範囲や威力をシミュレーションする場合、それを発動するのに必要とされるマナと魔力量を設定する。  その設定する値は、ブレイバーパラディンクラスが消費するであろう数値を使用するのが一般的だ。  ブレイバーパラディンは、アルディス軍におけるもっとも位の高い階級であるため、たとえばそれ以下のナイトやスクエアが同じ魔法を使用した場合、必然的にパラディンよりも威力は抑えられる。  という理由から、もっとも高威力を発揮できるであろうパラディンクラスを基準とした設計が、魔法には成されているのだ。
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