四章 化神の力

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 街に足を踏み入れてから、およそ四十分後、シャーロットたちは爆心地とされている地点へとたどり着いた。そこはすでに、瓦礫さえも完全に撤去されており、さながら更地のようになっていた。  精神が不安定になるほどの、何もないまっ平らな空間だけが広がっている、そんな場所だ。  黄色味の強いこの地域特有の砂が、眼前いっぱいに敷き詰められている。  しかしながら、もともとは平坦だったはずの土地が、今は半球を描くようにして、緩やかで巨大な窪みを作っていた。あの空の丸い太陽が衝突したかのような、綺麗な球状を描いている。  これがまさに、試作型ラグナロクが炸裂した衝撃によって作られたものなのだろう。  半球は、おおよそ半径二百メートルくらいの規模だ。仮に普通の魔法が大地に炸裂したとしても、こうはならない。ゼノビア軍の切り札だった、自走兵器の主砲でも、おそらくここまでの破壊力を示すことはできないだろう。  やはり魔法とは、ノアにおける最高の技術であるということが、ここに結果として証明されているといってもいい――。  そう思うと、気分が高揚してくるのを、シャーロットは感じていた。腕を振り上げて、感情を爆発させて、この喜びを表現したい衝動に駈られた。  不謹慎であることを承知のうえで――。  やはり研究者として、その感情というのは止めることができないし、止めてはならないものだとシャーロットは思っている。  向上心をなくしてしまった瞬間に、研究者というのはその価値までもが失われる。安定を求めた瞬間から、研究者はゆっくりと衰退が始まり、やがて朽ち果てて死んでいくのだ。  だから――たとえどんな苦悩を抱えようとも、理不尽な結果に苛まれようとも、研究からは絶対に手を引かない。前進することを求め続けるのだ。  願わくば、もしもこの力が戦争以外のことで役に立つのなら、それほど誇らしいことはないのだけれど。
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