四章 化神の力

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 ただし、仮に半年間で次の化神を指名できなかった場合は、休戦状態は解除され、他国はその国を攻撃する権利が与えられる。  だからもし、万が一にだが、神徒レジーナがすでに逝去されていた場合は、速やかに次の化神候補が挙げられることになるだろう――。 「化神か――。じゃあ、パラディンの誰かかな? 次の候補は」  ミーアは率直に意見を述べた。まるでレジーナがすでに亡くなっているかのように聞こえてきて、少し気分が重くなる。 「それか、アルディス軍の幹部からの内部昇格、という可能性もあります。どちらにしても、戦闘能力が高いことはもちろんのこと、技術、体力、精神、すべてにおいて優れた人間でなければ、化神を勤めることはできないでしょうね」  もしも、どちらかを選べる権利を与えられるというなら、パラディンの実力者のほうが、シャーロット的には好ましい。  軍の人間はどこか信用できないところがある。そういうポジションであるという前提はわかっているが、この凄惨な戦争中に、自分たちは安全な場所で指示を出すだけというのも、何となく気に入らない。 「パラディンの首席といえば、ジョンストン一族のベルトラムさんですが……」  まともに会話を交わしたことはないが、さすがに有名人なので、彼のことはよく知っている。  ミーハーよろしく、ソフィと二人で話題に上げたりしている、誰もが認める美男子だ。 金髪を伸ばした、中性的で端正な美形なのだ。  ベルトラムもたしか、純血ではない養子縁組をした貴族だったはずだ。貴族のパーティで、何度か見かけたこともある。
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