四章 化神の力

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 いや、実際は逆かもしれない――。  可能性を信じることができるから、余計に辛くなる。  けれど、どんなに悔いようとも、すでに取り返しのつかないことである。だからこそ、シャーロットにできることは、こうして捜索に携わって、無事を祈ることくらいしかない。 「狙い通りゼノビア軍を退けたけど、今後はもっと厳しい戦いになりそうだなあ。ブレイバーの人員も少なくなって、戦力もかなり落ちてる」  さすがのミーアでさえ、ため息混じりだった。それもそのはずで、ブレイバーが失われるということは、その分だけ個人の負担が大きくなるからだ。 「ラグナロクが完成すれば、わたくしももちろん参戦しますわ」  その準備はできているつもりだ。  シャーロット独自の武器である『フライヤー』も、魔研と武装研の技術を駆使して、改良を進めている。そのうち、魔法の杖を凌駕するほどの武器となる予定なのだ。 「シャルも出るんだ……。わたしは……」  俯いたソフィのいいたいことは理解できた。バンデンタウンの任務での彼女の吐露を、告白を、シャーロットは忘れてはいない。 「ソフィは無理しなくてもいいですわよ。ご家庭の事情もあるでしょうし」 「うん……」 「家庭の事情はいいとして、ソフィ自身はどう思ってるんだ?」  二人の会話に口を挟むように、切れ味鋭くミーアがいった。  口調も心なしか、いつもののらりくらりとしたそれではなく、刃物のような鋭利さを秘めているようだった。 「わたし……ですか?」 「仮に親の管理がなくて、ソフィ自身が自分で決めないといけないとしてさ、そのときソフィはどうすんの?」  察するに、これはソフィの一番弱い部分を突く質問なのではないかと思った。 「それは……」  ソフィがいい淀んでいるのがわかった。目が泳いでいる。ミーアを直視できていない。
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