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いや、実際は逆かもしれない――。
可能性を信じることができるから、余計に辛くなる。
けれど、どんなに悔いようとも、すでに取り返しのつかないことである。だからこそ、シャーロットにできることは、こうして捜索に携わって、無事を祈ることくらいしかない。
「狙い通りゼノビア軍を退けたけど、今後はもっと厳しい戦いになりそうだなあ。ブレイバーの人員も少なくなって、戦力もかなり落ちてる」
さすがのミーアでさえ、ため息混じりだった。それもそのはずで、ブレイバーが失われるということは、その分だけ個人の負担が大きくなるからだ。
「ラグナロクが完成すれば、わたくしももちろん参戦しますわ」
その準備はできているつもりだ。
シャーロット独自の武器である『フライヤー』も、魔研と武装研の技術を駆使して、改良を進めている。そのうち、魔法の杖を凌駕するほどの武器となる予定なのだ。
「シャルも出るんだ……。わたしは……」
俯いたソフィのいいたいことは理解できた。バンデンタウンの任務での彼女の吐露を、告白を、シャーロットは忘れてはいない。
「ソフィは無理しなくてもいいですわよ。ご家庭の事情もあるでしょうし」
「うん……」
「家庭の事情はいいとして、ソフィ自身はどう思ってるんだ?」
二人の会話に口を挟むように、切れ味鋭くミーアがいった。
口調も心なしか、いつもののらりくらりとしたそれではなく、刃物のような鋭利さを秘めているようだった。
「わたし……ですか?」
「仮に親の管理がなくて、ソフィ自身が自分で決めないといけないとしてさ、そのときソフィはどうすんの?」
察するに、これはソフィの一番弱い部分を突く質問なのではないかと思った。
「それは……」
ソフィがいい淀んでいるのがわかった。目が泳いでいる。ミーアを直視できていない。
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