四章 化神の力

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 指定された場所にたどり着くと、そこにはすでに数人のブレイバーが控えていた。 「お、ミーアたちか」  そういって近づいてきたのは、シャーロットたちと同じ、ブレイバーナイトの軍服を着た青年だった。  たしか彼の名前はジュリオ。バーティストン家の生まれである正統な貴族のはずだ。  貴族どうしではあるが、彼とは特別これまで、社交界でも交流を持ったことはなかった。  彼の兄であるゼーファスは、実力的に有名だったので、顔くらいは知っていた。先日のアルディス中央部での攻防戦で、そのゼーファスは命を落としたと聞いている――。  それを引きずることもなく、弟のジュリオはブレイバーとしての活動を再開しているらしい。その精神の強さには、素直に敬意を評したい。 「驚くなよ? こっちだ。どうも周辺の状況が不可解な場所があってな」  ジュリオは陽気な雰囲気でそういった。  表情もどこか、嬉々としていて、この状況を楽しんでいるかのようにすら見える。戦場に立つブレイバーとしては珍しい。ましてや身内を亡くしてそれほど時間も経っていないはず。  兄との死別という衝撃的な経験が、彼をそうさせたのだろうか。  ジュリオを筆頭にして、三人は後をついて歩いた。  このあたりは、建物もほとんどが崩壊していて、かろうじて残っているのは、だいたい腰のあたりの高さまでの外壁の残りといったところだ。それより上の部分は、爆発の衝撃と爆風で吹き飛ばされてしまったのだろう。 「ここだ」  ジュリオが足を止めた。  そこはたしかに、一目見ただけでは説明が思いつかない、不思議な空間を作り上げていた。  まず、もともとはこの空間は、建物と建物の間にある、狭い路地か何かだったのだと思われる。  その証拠に、建物の外壁であったと思われる部分が、他の場所でもそうだったように、腰のあたりの高さまでは何とか形を保っていた。
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