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「もし、レジーナ様がラグナロクをコントロールしていたなら……」
それならまだ納得がいく。けれどレジーナとて、こんなとある一ヶ所のとある範囲だけ被害を抑えるなどという芸当はできるだろうか。にわかには信じられない。
「なんというか、この範囲だけラグナロクの効果を打ち消しているようにも見えますよね」
ソフィがいった。
解釈しだいではたしかにそうとも取れる。
防いだのか、打ち消したのか、はたまた吸収したのか。結果から推測されるのはそれくらいか。
「ふうん……打ち消した――そうか」
ミーアが思案顔をした。
「御姉様、どうかしましたか?」
「ん? ――いや、なんでもないよ」
ミーアは微笑して、手をヒラヒラと振った。何とも意味深だ。
雰囲気から読み取るに、何かしらの思い当たる節があったようだが、話したくないのならば、無闇に深入りはできない。
「何だよ、秘密主義だなあ」
と、ジュリオが茶々を入れる。あのミーアに臆せず踏み込むとは、やはりこの男――少し変わっているのか。
「いやいや、だから、秘密もなにも、なんにもないんだって」
「ほんとかよ」
とにかく、状況はよくよく確認できた。
シャーロットは、異なる二種類の砂を持ち帰ることにした。これで何かがわかる可能性は低いが、取っかかりのない現状では、藁にもすがるしかない。
持参していた小さな小瓶に、それぞれを採取する。
「ではまた、レジーナ様の捜索に戻りますか?」
ソフィが提案する。本心は隠しているが、ソフィにとっては、レジーナと同じくらいその安否が気になっている相手がいるので、それも含まれているのだろう。
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