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「どうか耐えてください。重傷ですが、必ず治ります。苦しみは、このわずかな時間だけです。耐えてください」
レジーナは、勇気づけるように、ユキに話しかける。
ハンスにできることは、ただただユキの手を握ることだけだった。どんな言葉をかけるのが適切なのか、それすらもわからなくなっていた。
見た目における変化は、まだない。
ただ、高度な治療魔法というのは、本来そういうものだと聞いたことがある。なぜならば、魔法の力によって外側から内部組織の修復を行うからだ。
怪我の大元である内部組織を修復した後に、外傷を塞ぐというのが、正しい手順らしい。それは肉眼で確認できるものではないのだ。だからこそ、高度な技術が要求される。
ユキは表情を歪めて、涙の滴を止めどなく流しながら、それでも声をあげることなく耐えていた。
この間にも、足の怪我だけに留まらず、ユキの命自体を蝕んでいるのではないかと、不安な気持ちは収まらない。
信じるしかない。レジーナを――。
治療は十分近くは続いただろうか。
だんだんと、変化がわからない程にゆっくりとだったが、気がつけばユキの表情は、少しばかり落ち着いたものに変わってきた。
痛みもピークを越えて、引き始めているのだろうか。例によって、外側からは治療の具合がまるでわからないが、そろそろ佳境であることは察しがつく。
レジーナは外傷の部分の修復に入っているからだ。
やがてレジーナの掌が放つ光が弱くなった。だんだんと小さくなり、そして消えた。
薄暗く荘厳な教会の雰囲気が戻ってきた。
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