四章 化神の力

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 レジーナが儀式といった意味が、そこでようやく、わかった気がした。  ハンスの想像している通り――レジーナがユキに生命を受け渡そうとしているのなら、それはこの世でもっとも荘厳なる儀式といっていい。 「覚悟はできましたか、パラディン、ユキ。――といっても、もう答えを待っている時間はありませんが」  レジーナが問う。  ユキはまた、まぶたを少しだけ開けて、レジーナを見た。そして、ハンスと繋がれた掌にわずかな力を込めた。もう握るとすらいえないくらい弱い力だ。  ユキは相当に衰弱している――。  もうなりふり構わず、さっさと儀式を開始して欲しい気持ちがふつふつ沸き立ってきて、大きな声をあげてしまいそうなくらいだった。  何でもいいから早く、ユキを助けてくれ――。 「お……」  ユキが唇を動かしたとわかるまでに、少しの時間を要した。もはや動いているかどうかもわからないくらいだ。  ハンスは無意識のうちに、ユキの言葉に耳を傾けるために顔を近づけていた。 「お願い……します……レジーナ……さま……」  かすれたような、囁くようなこの声が、レジーナまで届いているのかはわからない。  けれど、彼女のことだ。人智を越えた何かで、ユキの意志を受け取っているのかもしれない。 『ノアの意志』ではなく、ユキの意志による決断を。 「私は……あなたの……すべてを受け入れて…………生きます……」  その瞬間に、レジーナの身体が、まばゆい光を帯びた――。
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