四章 化神の力

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 そう考えると――この十数分のタイミングは、実に大きな分岐点だったのかもしれない。  もし、レジーナの生存中に、アルディス軍の助けがきていたなら、もしそのタイミングだったなら――おそらくユキは命を落としていた。  アルディス軍が、そんな行為を許さなかったからだ。  それも含めて、レジーナの描いた絵だったのだろうか――。  教会の大きな扉が、そこで開かれた。屋外からのまばゆい太陽光が、教会内の薄暗い雰囲気を吹き飛ばしていく。  そして、軍服に身を包んだアルディス兵がなだれ込んできた。 「お前たちは――」  瞬間的に、兵士らは武器を構えて戦闘体勢に入った。 「ブレイバーか!? ブレイバーだな!」  先頭にいたリーダーらしい男が叫んだ。そして手にしている武器を下ろす。それによって連鎖的に、全員が武装を解除した。 「生存者を発見した! 本部に連絡を取れ」  リーダーの男が接近してきた。 「神徒レジーナ様の姿を見ていないか?」  歩きながら問うリーダーの男に対して、ハンスは少し後ろの空間に無言で視線を飛ばした。  部隊の全員が、順々に目線をその方向へと移した。  そして教会は、やってきた全員は、大きな衝撃に見舞われた
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