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だから――。
現在こうして、シャーロットとソフィと久しぶりに顔を合わせていても、なんとなく会話が弾まないのだった。
「――結論から申し上げますと、レジーナ様の内に秘められていた能力を、わたくしたち魔研が計り間違えていたということですわ……」
シャーロットは、少々疲れた顔をしてそういった。
「試作型ラグナロクの効能自体は、おおよそ想定したとおりでした。けれど、レジーナ様の扱う高濃度かつ高密度のマナは、こちらの試算した値を大きく超過していたということでしょう。それが効果範囲の増大に繋がりました。わたくしとしては……謝罪する以外にありません……」
そう話を締めたシャーロットは、暗い顔をする。
ここまで、彼女がつらつらと究極魔法ラグナロクについて語るようすを、ハンスはぼんやりと聞いていたのだった。
それは、話がつまらないからそうなったのではなく、逆に難解すぎて、ついていけなかったのだ。
とにかく、要約すると、試作型ラグナロクは、シャーロットを含めた魔研の皆が想定していたよりもはるかに大きな力を発揮してしまった。そのことが、結果としては戦死者の増加させるという、悪い結果につながってしまった――。
少なからず、この結果について、アルディス軍と魔研の間では、問題提起が行われたらしい。今後は厄介なことになるかもしれない。
「でもそれは、何もシャーロット一人の問題じゃあないだろ? 研究の中心にいたとはいえ、他の研究員たちもわからなかったわけだし」
「そうですよ。ハンスくんのいうとおりで――シャルは何も悪くないんだよ?」
「お気遣いありがとうございます。けれど、魔研としては、そのミスは起きてはならないものでした。そのせいで……多くのブレイバーたちの命が……」
シャーロットはそういって、うなだれたのだった。
かける言葉がうまく見つからなかった。何かをいわないといけないという気持ちだけはあるのだが、それに適した内容がどうにも頭に浮かんでこない。
こんな暗いニュースばかりだと、気分も沈んでしまう。必然的に会話も途切れてしまうというものだ。
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