五章 休戦期間

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 魔研二階にある資料室に、ハンスたち三人はいた。  休戦ということで、ハンスたちブレイバーは、さっそく昨日からクラッドストン学園での訓練が再開された。  戦場では、とにかく戦うことと生き残ることで精一杯だったが、学園では細かな腕を磨くことができるので、これは捉えようによってはいい機会だ。  とはいえ、本格的な鍛練のためには、愛器であったレヴォルツの代わりとなる剣を、早急に手配しなければならないのだが。  今日はソフィといっしょに、フィラクテリの魔力充填のために魔研へやってきたついでに、シャーロットを訪ねたというわけだ。  アルデウトシティへの出陣前にもシャーロットと話をしたが、今回はそれ以来だった。  あのときここで、究極魔法ラグナロクについての話を聞いたわけだが、その際にはまだ、ラグナロクの使用についての正式決定はされていない雰囲気だった。  仮に上層部の間では結論が出ていたにしろ、少なくともシャーロットの耳には、明確な情報が入っていなかったことはたしかだ。  レジーナの参戦発表に合わせて、急遽決められたのかもしれない。もしくは、意図的に情報が統制されていたか――。  まあ、今更そんなことを訊いても仕方がないので、それはやめた。  というよりも、今は究極魔法について、根掘り葉掘り訊ける状態にないというほうが正しい。シャーロットはラグナロクのもたらした結果について、ひどく動揺しているように思える。 「次の神徒は……誰になるんだろうな?」  ハンスは仕切り直すようにいった。とりあえず、当たり障りなく、かつ全員が興味を示すだろうホットな話題を、と考えたからだ。 「パラディンから選ばれるんだろうけど……」  しかし今のパラディンには、あのベルトラムも、そしてシェイラもいない。となると、相応しい人物は思い当たらない。
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