12人が本棚に入れています
本棚に追加
/310ページ
勝手な推測だが――ゼノビアの人間ではないのではないかと、ハンスは考えている。まったく根拠などないが。
「というわけで、ソフィはちゃんと、気をつけておくんですよ!」
まるで母親が娘を諌めるように、シャーロットはいった。
「わ、わかってるよ! ――オールティストン一族も、警備を強化しているところだから。最後の神器を奪われるわけにはいきません!」
神徒も神器も失うとなれば、アルディス軍もいよいよ厳しい立場に置かれることになる。
アルディスの神器は『クウテキ』のみ。
イーヴァインは『オーラクリスタル』、ゼノビアは『オリハルコン』と『ミュラルジルール』を所有している。
行方不明となっているのが、『コクヨウ』と『ヒメツル』。
残る最後の一つは、完全に所在がわからない状態だ。
ただ、仮に神器を集めたにしろ、それをどう軍事力に利用するのかといえば、それはわからない。古代のマナが封印されているという、眉唾物の噂はあるが。
神器にはまだ、謎が多いのだ。
「七つ目の神器のこと、二人は知ってるか?」
ソフィとシャーロットは同時に首を振った。
「そちらは専門外なので」
シャーロットはひと言、潔く告げた。
「わたしも知らないです。たぶん知っているとしても、アルディスの上層部の人だけだと思います」
つまり、貴族でもトップ中のトップか。
その世界にもなると、表沙汰にならない闇の情報が行き交っているに違いない。積極的に関わりたくもないところだ。
最初のコメントを投稿しよう!