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そして――例によって、ベージュのワンピースが見事なまでに捲れていた。今日のソフィの縞々の色は、薄めの黄緑だった。
緑系統は前にもあったよな――そんな感想が頭に浮かんだ。
さすがに回数が嵩んできて、そろそろカラーリングのレパートリーにも無理が出始めたか――。
はてさて、おそらく今後も幾度となく続くであろうこのお決まりを、カラーリングが被ることなく乗り越えていくことができるだろうか――?
うん、たぶん、謎の力が働いて、被ることなんてないんだろうな。
それがハンスの導き出した結論だった。
「はっ!? ――きゃあああぁぁぁっ!」
ようやく事態を認識したらしいソフィは、慌ててワンピースの裾を下ろした。
この反応にも慣れてしまっている自分がいる。それではいけないのだろうけど。
しかし、いつものように、ソフィは飛び退いたりはしなかった。いまだハンスに馬乗りになったままで、恥ずかしそうに頬を染めていた。
「み、見たんですか? ……また! ……また、見たんですね!?」
「ああ、まあ……」
そういうしかない。
「いつもいつも……わたしの下着を見るなんてっ……。ハンスくんは……なんでそんなに……えっちなんですか!?」
顔を赤くしたまま、しかし蔑むような流し目で見つめてくる。
「い、いや、ちょっと待て! まず、俺が何かをしたわけじゃないし、いつもいうように、これは不可抗力だ。いつもいつも、なぜか偶然、こうなってしまうってだけだ」
こう何度も続くと、対応にも箔がついてきた。動揺することなく無難に、言い訳をこなすことができる。
いや、別に自分に悪い点はないはずなので、言い訳などではなく、説明であり弁明か――。
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