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「やっぱり同僚の行方不明が大きいのかな」
と、やはりそういうしかない。そう思いたいのかもしれない。
ベルトラムとシェイラは、パラディンの中でも絶対的な存在だったのだ。その二人までもが、行方不明となってしまった。
アルデウトシティの戦いからすでに十日以上が経過している。おそらくもう、生きていることを期待しないほうがいいのだろう――。
「そうでしょうか……」
と、ソフィは異を唱えた。それは珍しい反応で、思わず理由を聞き返したくなるほど、予期せぬ出来事だった。
「わたし、ユキさんがショックを受けるなら、たぶんそれは……ハンスくんに関わることだと思うんです」
断定的な口調でソフィは告げた。
「お、俺――?」
「そうです! ハンスくんのことで、やっぱりなにかあったんじゃないですか!?」
まるで詰め寄る勢いで、ソフィは身体を乗り出した。二十センチ近くも身長差があるにも関わらず、かなりの圧力を感じた。思わず足を止めてしまったほどだった。
するとさらに、ソフィの迫力は増した。
「でないと、辻褄が合いません!」
「そ、そうか? 上司の行方不明が原因でも、十分納得できるけど……」
「いいえ! そんなのぜんぜん、わたしは納得できません! ハンスくん、実はもしかして、ユキさんのことがぜんぜんわかってませんね!?」
今のソフィは珍しく強気だった。
温厚なソフィに、ぜんぜんわかってない、などとはっきりいわれてしまうのは、少しだけショックだ。
「それならむしろ、ハンスくんに助けを求めると思うんですよね。辛さを忘れるために。でも! そうじゃないということは! ハンスくんとなにかあったってことなんです! さあ、なにがあったんですか!?」
もはや尋問されている気分だ。
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