五章 休戦期間

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「やっぱり同僚の行方不明が大きいのかな」  と、やはりそういうしかない。そう思いたいのかもしれない。  ベルトラムとシェイラは、パラディンの中でも絶対的な存在だったのだ。その二人までもが、行方不明となってしまった。  アルデウトシティの戦いからすでに十日以上が経過している。おそらくもう、生きていることを期待しないほうがいいのだろう――。 「そうでしょうか……」  と、ソフィは異を唱えた。それは珍しい反応で、思わず理由を聞き返したくなるほど、予期せぬ出来事だった。 「わたし、ユキさんがショックを受けるなら、たぶんそれは……ハンスくんに関わることだと思うんです」  断定的な口調でソフィは告げた。 「お、俺――?」 「そうです! ハンスくんのことで、やっぱりなにかあったんじゃないですか!?」  まるで詰め寄る勢いで、ソフィは身体を乗り出した。二十センチ近くも身長差があるにも関わらず、かなりの圧力を感じた。思わず足を止めてしまったほどだった。  するとさらに、ソフィの迫力は増した。 「でないと、辻褄が合いません!」 「そ、そうか? 上司の行方不明が原因でも、十分納得できるけど……」 「いいえ! そんなのぜんぜん、わたしは納得できません! ハンスくん、実はもしかして、ユキさんのことがぜんぜんわかってませんね!?」  今のソフィは珍しく強気だった。  温厚なソフィに、ぜんぜんわかってない、などとはっきりいわれてしまうのは、少しだけショックだ。 「それならむしろ、ハンスくんに助けを求めると思うんですよね。辛さを忘れるために。でも! そうじゃないということは! ハンスくんとなにかあったってことなんです! さあ、なにがあったんですか!?」  もはや尋問されている気分だ。
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