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仕切り直したソフィが口を開く。
「でも……神徒のレジーナ様と、その次期候補でもあったベルトラムさんがいなくなったのは大きな問題ですね……。パラディンにはほかにも優秀な人材はたくさんいますが、統率力やカリスマ性でいえば、彼以外に候補者はいませんでした」
さらにいえば、シェイラも、だ。
いきすぎた合理性を持つシェイラは、アルディス軍の教えに相反するところもあったのだろうが、それでも能力や資質は申し分なかったはずだ。
その二人が失われたことによって、アルディス軍は転機を迎えるのかもしれない。
次期、神徒を決定するまで、期間は六ヶ月間しか与えられない。否が応でも、半年後には誰かが神徒を名乗っているのだ。
「急激に若返りが始まった感じだな。まあ、まだ魔卿様が健在だけど」
「ジェルド様ももう、だいぶお歳を召しておられますから、力は失われつつあるんです。そういう意味では、本当に若返りですね」
魔卿ジェルドについては、本当に印象が薄い。
開戦前の壮行会でわずかに顔を見ただけであり、それすらももう、時間の経過によって曖昧な記憶となっている。ほとんど情報を持ち合わせていないといっても過言ではない。
「ベルトラムさんやシェイラさん以外で、神徒候補者の当てはあるのかな……?」
ソフィは視線を宙にさ迷わせたが、すぐに答えは出なかった。
「パラディンの名を拝しているブレイバーは、変わらずみな実力者ですから。けど、絶対的な決め手がないのは事実かもしれないです。それくらい、お二人は抜けていたと思います」
組織的な事情に詳しいソフィがいうのだから、信用できるだろう。
やはり軍だけにとどまらず、五つの貴族のトップや、国民をも納得させるような資質は必要だということだろうか。
神徒――。
神に化けると書き、神に化わると説かれる、化神と称される存在なのだから。
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