五章 休戦期間

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 とはいえ、ソフィが悪いわけではないので、彼女に余計な気を揉ませてはいけない。 「そうそう。そういうこと。レヴォルツの代わりが必要だからさ」  理由としては十分だし、ましてや嘘でもない。  するとユキは、不満や納得とは違う、少し焦ったような色を表情に浮かべた。予定になかった反応だった。いったい何だろう。 「……へぇ、じゃあ、今日買うつもりなの――?」 「んー、合うものがあれば、だけど」  とはいえ、レヴォルツは汎用品ではない。むしろ特殊な形状をしていたのだ。既製品ではなかなか見つからないのが実情だ。  だからこそ多くの戦士たちは、自分専用の武器を特注したりする。  最終手段としては、ここの親父に製作を頼むことになるだろう。彼ならきっとやってくれるはずだ。問題は金額的な面だけである。 「そっか……」  ユキは思案するように返答する。 「ん? 何かあるのか?」 「ううん。べつに……ないけど……」  それっきり、数秒間の沈黙の時間ができた。  近頃のお互いの関係が微妙であることも手伝って、次にかける言葉が見つからない。  ユキと言葉を交わすことにこれほど苦労する日がくるとは、まるで予想だにしていなかった。 「あ、あのユキさん……。お怪我のほうはもう大丈夫ですか?」  場を取り繕うように、ソフィがいった。これは、おとなしそうな彼女の持つ意外性のうちの一つだ。  ソフィは、ドゥドゥのような敵意を持つ特定の相手を除けば、基本的に対人関係で物怖じしたりしない。初対面だろうと、面識が薄かろうと、しっかりと相手の目を見て、はきはきと喋ることができる。  貴族の娘として、幼少時代から英才教育されているのだろうと思う。  
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