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「まあ、心配すんな。わかるぜ。だいたいはな。サイズは二種半ってとこか」
二種半――聞き慣れない言葉だ。
「そういう枠組みなんですか? 剣にも、サイズの種類が決められてるんですね」
「まあな。オールティストンの令嬢なら、そのへんも知ってるんじゃないのかい?」
バジルはソフィを見た。
澄ました顔をしているということは、覚えがあるらしい。
あまり詳しくはないですが、と前置きしてから、ソフィは続けた。
「大分類で、大剣サイズが一種、片手剣といわれる中の長剣タイプが二種、小型のサーベルタイプが三種、それより小さいものが四種とされていたはずです。――わたしにわかるのは、それくらいですが……」
十分な説明だった。
「じゃあ、二種半ってことは長剣以上大剣以下ってことか」
やはり特殊な形状だったということらしい。
「そういうこって。そしてあいにくだが、オレの店にそのサイズの在庫は置いていないぜぇ?」
いやにあっさりとしている。
武器屋として、それを臆面もなく告げるのはどうなのだろう。客の需要に答えられないといっているようなものだ。
ついそんなことを思ったが、それくらいレヴォルツが特殊だったのだと考えることにする。
「新しく打ってもらうことはできませんか。バジルさんは、鍛剣工でもあるんですよね?」
期待してというより、確信をもってこう訊いた。バジルなら間違いなく、引き受けてくれると。
しかし――。
「うーん、そうだなあ……。でもなあ、今はけっこう忙しいときでなあ」
予想外にもバジルは難色を示した。
まったく多忙そうには見えないのだが。事実、店に他の客は一人もいない。
それだけ、難易度の高い鍛剣ということなのだろうか。
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