五章 休戦期間

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「まあ、心配すんな。わかるぜ。だいたいはな。サイズは二種半ってとこか」  二種半――聞き慣れない言葉だ。 「そういう枠組みなんですか? 剣にも、サイズの種類が決められてるんですね」 「まあな。オールティストンの令嬢なら、そのへんも知ってるんじゃないのかい?」  バジルはソフィを見た。  澄ました顔をしているということは、覚えがあるらしい。  あまり詳しくはないですが、と前置きしてから、ソフィは続けた。 「大分類で、大剣サイズが一種、片手剣といわれる中の長剣タイプが二種、小型のサーベルタイプが三種、それより小さいものが四種とされていたはずです。――わたしにわかるのは、それくらいですが……」  十分な説明だった。 「じゃあ、二種半ってことは長剣以上大剣以下ってことか」  やはり特殊な形状だったということらしい。 「そういうこって。そしてあいにくだが、オレの店にそのサイズの在庫は置いていないぜぇ?」  いやにあっさりとしている。  武器屋として、それを臆面もなく告げるのはどうなのだろう。客の需要に答えられないといっているようなものだ。  ついそんなことを思ったが、それくらいレヴォルツが特殊だったのだと考えることにする。 「新しく打ってもらうことはできませんか。バジルさんは、鍛剣工でもあるんですよね?」  期待してというより、確信をもってこう訊いた。バジルなら間違いなく、引き受けてくれると。  しかし――。 「うーん、そうだなあ……。でもなあ、今はけっこう忙しいときでなあ」  予想外にもバジルは難色を示した。  まったく多忙そうには見えないのだが。事実、店に他の客は一人もいない。  それだけ、難易度の高い鍛剣ということなのだろうか。
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