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※※※
「でも、少し変でしたね。バジルさんが暗にお断りをするだなんて……」
歩き出してすぐに、ソフィはそういった。
「やっぱりあれってそういうことだったのかな?」
「たぶん……ですけど」
ソフィは首をかしげた。
「レヴォルツの形状ってそんなに特殊だったんだな」
「うーん、そうですね……。形状はたしかに特殊だと思いますが、けど腕のいい鍛剣工なら、規格を外れた剣を打つことはそれほど難しいことじゃないはずですよ。金型で作るような量産品ならまだしも、どのみち一本一本手作業で打つんですから」
なるほど、そういわれれば、そんな気もする。では技術の云々は関係なく、単純に受けたくない仕事だったわけだ。
そう思うと、まるで避けられたようで穏やかではない。彼の心証を悪くするような行動をしたつもりはないのだが――。
「まあ、二週間待ったら答えが出るのかな」
それでやっぱり作れないといわれるのは痛いが。今のうちに別の候補を探しておくべきだろうか。
戦争はしばらくないとはいえ、任務の依頼は突然舞い込んでくることもある。そんなときに専用の武器がないのは厳しい。
学園から貸出しされている物もあるが、さすがに実戦で使いたくはないのだ。やはり自分の命を賭すには、それなりの相棒でなければならない――。
昼前の商業区の活気は、時間とともに向上しているかのようだった。
人の往来は非常に多い。それは何も、商業区に限ったことではないが。
というのも、それには理由がある。なぜかといえば、先日の『首都防衛AL作戦』によって、三つの街がほとんど同時に消失してしまったからだ。
その難民の一部を、アルディストンは受け入れている。
特に大都市でもあったアルデウトシティでは、戦時にも関わらず街を離れなかった人間がそれなりにいたこともあり、避難民はかなりの人数に上ったようだ。
それによって必然的に街の人口も、増加しているというわけだ。
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