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「もし、本格的に襲撃の噂が流れたら、わたしはもっと不自由になるかもしれませんね」
「神器を狙う連中の目星はついてるのか?」
仮面の人間たち。ゼノビアの使いなのか、どうなのか。
「それは……まだはっきりとは。けど、もしかすると、三大国家のどこの国にも属さないような、新たな勢力である可能性があるみたいです」
「そんな団体があるのか……?」
ふと思い出されたのは、ブレイバーとなってすぐの頃に一戦を交えた、ジャンノエルのことだった。ヤツはたしか、ブレイバーを離れて独自の組織を発足しているようなことをいっていたはずだ。
しかもその後、瀕死のジャンノエルを連れ去って行った人物こそが、ユキの神器を奪った仮面の男だったのだ。あの二人には何かしらの関係性が元々あったとすれば、仮説にも真実味は出てくる。
まさか、何とも思っていなかったあの出来事こそが、もっとも有力な手がかりだったかもしれないのか――。
「彼らが神器を集める理由はわかりません。強いてあげるとするなら、そこに封印されたマナでしょうが、それは常人には扱えないはずの大容量、高濃度のマナです」
「化神クラスでないと無理なんだっけ?」
そもそも神器を作り出し、そこへマナを封印したのは、伝承では女神アイリスと魔王リエスであるとされている。だからこそ、扱うには神なる力が必要なのだろう。
「化神でもどこまで扱えるのか疑問ですよ。なにせ、封印されたマナの規模がいまだ未知数ですから」
「ふうん……そうなるともう、わからないな」
しかし、今このときも、神器が得体の知れない連中に狙われようとしているのは、紛れもない事実なのだ。それを収集する謎の一味が暗躍している。
敵はゼノビアだけではない。世界は今、大きな変革のうねりの中にいるのかもしれない――。
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