終章

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 レヴォルツは通常の規格を外れた特注品なのだ。師匠の行方がわからない今となっては、どこで作られたものなのかも、もう知ることはできない。  それに変わる新しい武器が、今この手の中にある。  使いこなすことができるだろうか。  こうして手に持っている限りは、かなりレヴォルツに近い重量のように思える。 「レヴォルツの規格に合わせてくれたのか」 「それは、剣を抜いてみればわかるんじゃない?」  まさにその通りだった。プレゼントという性質上、本人の目の前で喜び勇んで確認することに少しばかりの恥ずかしさを感じただけだ。  ハンスは魔剣を鞘から抜いた。銀色をした刀身――ではなく、その刀身は、黒に近い色をしていた。わずかな灯りを受けて光を放つ。  おそらく、形を仕上げた後に、特殊な処理を施しているのだろう。刀身に直接刃を設けなくてよいという、魔装武器ならではの着眼点なのかもしれない。  普通の剣だと、切れ味を残すために、余計な処理は御法度であるはずなのだ。おそらくだが、劣化を防ぐような処理を加えてくれたのだろう。  とにかく上質に仕上げられていた。さすがはバジルだ。おそらく何度も加熱と冷却を繰り返して、最高峰の品質にまで引き上げられている。  ここにマナを付加すれば、おそらく本物の一級品となる。その一回目が訪れることを惜しく思うくらいに上出来だった。  軽く振ってみる。サイズも重さも形状も、どれを取っても不満はない。 「すごい……。ここまで再現できるなんてな。いや、むしろレヴォルツ以上かも」  ここまでくると感覚的な問題なのだが、柄を握った感触も、振ったときの反動も、レヴォルツの品質を超えているように感じる。  そこはおそらく、目に見えないレベルの世界なのだろうが。 「ユキ、ありがとな。ほんとにありがとう。大事に使わせてもらうよ。――その……お金のほうは大丈夫……なのか?」  いくら贔屓にしているバジルといえど、物に見合った対価は必要となる。これだけの魔剣が手頃に作れるとは思えない。
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