一章 未完の新兵器

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 少し影のある顔つきで続ける。 「ソフィのことですわ。――オールティストン一族は、最後の神器を所持されていますから」  なるほど、たしかに――。  ノーマークだった。というより、忘れていたのだ。オールティストン一族がアルディス最後の神器を所有していることを。 「それって、まさかソフィの家にあるわけじゃないよな? オールティストンの第一当主ではなくて」  嫌な予感がして、訊いた。  だが、たしかソフィの話では、アインスフェルト家はオールティストンのトップに立つ家系ではなかったはずだ。  だからたぶん、神器は別の場所にある。 「おそらくソフィの家ではなかったはずですが……。でも、彼らが手当たり次第に神器を探すなら、どこを襲撃するかわかりませんから」  それもそうか――。  シャーロットのいう通りだ。  どちらにせよ、その最後の神器を、やつらは確実に狙ってくる。それだけは間違いない。 「ソフィに危険が及ぶ可能性もあるのか……」 「ええ……。なので、アルディス軍も学園側も、警戒を強めているようですわ」  とはいえ、この状況下では打てる手は多くはないだろう。  ゼノビア戦線の兵力を割くことはできない。限られた人員で、オールティストン一族を警護する他ないのだ。  そして何より、この規模の事件となれば、ハンスたちが口出しできるような問題でもない。  軍に所属する自分が、勝手にソフィの護衛を買って出るわけにもいかない。できることといえば、侵入者がやってこないことを祈るくらいしかないのだ。
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