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少し影のある顔つきで続ける。
「ソフィのことですわ。――オールティストン一族は、最後の神器を所持されていますから」
なるほど、たしかに――。
ノーマークだった。というより、忘れていたのだ。オールティストン一族がアルディス最後の神器を所有していることを。
「それって、まさかソフィの家にあるわけじゃないよな? オールティストンの第一当主ではなくて」
嫌な予感がして、訊いた。
だが、たしかソフィの話では、アインスフェルト家はオールティストンのトップに立つ家系ではなかったはずだ。
だからたぶん、神器は別の場所にある。
「おそらくソフィの家ではなかったはずですが……。でも、彼らが手当たり次第に神器を探すなら、どこを襲撃するかわかりませんから」
それもそうか――。
シャーロットのいう通りだ。
どちらにせよ、その最後の神器を、やつらは確実に狙ってくる。それだけは間違いない。
「ソフィに危険が及ぶ可能性もあるのか……」
「ええ……。なので、アルディス軍も学園側も、警戒を強めているようですわ」
とはいえ、この状況下では打てる手は多くはないだろう。
ゼノビア戦線の兵力を割くことはできない。限られた人員で、オールティストン一族を警護する他ないのだ。
そして何より、この規模の事件となれば、ハンスたちが口出しできるような問題でもない。
軍に所属する自分が、勝手にソフィの護衛を買って出るわけにもいかない。できることといえば、侵入者がやってこないことを祈るくらいしかないのだ。
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