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「ああ、そうか……。貴族どうしだもんな。関わりもあったのか」
「まあ、それなりには。貴族の集まる会があれば顔を合わせますし……」
シャーロットはそこで口をつぐんだ。あまり亡くなった者の話をあれこれと聞くものではないか。
「彼だけでなく、どうやら死者もかなり増えてるようですわね。わたくしも、こんな場所で研究していることが不思議なくらいですわよ。早ければ一週間後には、この国はなくなってしまっているかもしれないというのに……」
あらためて、そう言葉にされると、実感が湧いてくるというものだ。そう、その通りで、アルディスは未曾有の危機に晒されているといっていい。
「だな。そういう意味ではもう、化神に頼らざるを得ないのかもしれないな。いくら人間を増やしたにしても、あの兵器を止めようとすればそれなりの犠牲が伴う……」
それこそゼーファスのように。彼の死は序章でしかなかったのだ。
それがこの数日で、如実に現れる結果となっている。もうこれ以上、むやみに戦力を失うわけにはいかない。
「でも究極魔法ならば――それも可能だと思います」
シャーロットは、言葉に力を込めていった。
まだあの自走兵器を直接その目で見ていない彼女だが、それを語る口調に迷いのようなものはなかった。つまり究極魔法は、それだけの規模と破壊力を有する魔法だということだ。
「でも、完成はまだ先なんだろ? ――具体的には、どれくらいの効果範囲になりそうなんだ?」
あの兵器を破壊できるというからには、たとえばこの魔研の建物くらいなら、崩壊させることができるかもしれない――。
想像できるのは、それくらいだ。
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