一章 未完の新兵器

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「御姉様は、あまり自分のことを話しませんから……。わたくしも、別に関係が長いというわけではありませんし」 「そうなのか? でも、シャーロットも研究者としてはもう長いんだろ? ミーアもたしか、ブレイバー歴は長いほうだったよな」  ということは、二人にはそれなりの歴史があるのかと思っていたが。  ミーアは以前の戦争を知っている。休戦前には戦場にも立っていた。  つまり三年前にはすでにブレイバーの称号を与えられていた。そのときはスクエアだったといっていたはずだ。 「わたくしが御姉様と知り合ったのは、二年ほど前ですわね。それ以前は、存在すら知りませんでしたよ。――ミーア御姉様は、その前の一年間、ブレイバーとしての活動を休業していたみたいですから……」 「ん、休業――?」  それは初耳だった。しかも、一年間となると、またずいぶんと長い期間だ。  普通、そんなに長期の休暇が与えられることはないし、許可されることもないはず。  一年間もブレイバーを離れるとなると、実質的な引退と捉えられてもおかしくないほどだ。   二年前というと――時期を考えるなら、彼女が十五歳の頃になるだろうか。  二人はその頃出会った。さらにその一年前となれば、今から三年程前――。  つまり、例の休戦後というタイミングだ。  休戦後まもなくして、一年間の休業。  これは偶然なのか?  そして十五歳のときにブレイバーに復帰して、シャーロットと出会う。そしてそれから二年経って現在に至る、というところか――。  こういうことは過去を詮索するようで申し訳ないが、ミーアの歴史がぼんやりとわかってきた。  やはり、休戦前の戦争で起きたという、ゼーファスを含めた重大な出来事が原因だったのかもしれない。
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