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「もちろんです! 御姉様の参加する任務は、すべて把握しています!」
シャーロットは自信ありげな顔で宣言したが、それはそれで怖い気がするが。女の子どうしだから許されるが、異性なら間違いなくストーカー扱いだ。
しかしすぐに、彼女は表情を曇らせた。心配そうな目で、ハンスを見つめる。
「なんだか――御姉様がハンスさんを見る目って、少しほかとは違っている気がするんですよね。――そう感じたことはありませんか?」
「そうか? ――どうだろう」
意識したことはなかった。
「まあ、たしかに、ミーアは秘密主義のようで、最近ではなんだかんだでいろいろ打ち明けてくれてる気はするけど……」
バンデンタウンでの夜の公園しかり、デオグラストからの逃亡のときしかり、先日の墓地でのことも――。
考えてみれば、わりと定期的に、彼女の話を聞いている気さえする。
それはたまたま、揃って危機的な状況に陥ることが多かったからだと、認識していたのだが。
ジャンノエルとの交戦や、ゼノビア兵
士捕縛の任務や、潜入任務、ゼーファスの死――考えてみれば、ミーアの心に触れるときは必ず、何かしらの難しい事態に巻き込まれている。
そのたびに、彼女の持つ価値観に触れている。
これも偶然なのか?
それとも、『ノアの意志』が導く必然なのか――。
「はっきりいいますと!」
シャーロットは立ち上がって、人差し指をハンスに向けた。
あまりの迫力に、ハンスは仰け反りそうになった。いつの間にか、周りに人柄いないのが幸いだったが、もし誰かいたなら、間違いなくまた好奇な視線に晒されていただろう。
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