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「あっ……は、はいっ……。お、お疲れ様です! あなたは、あの――」
勇気を振り絞って、その名前を呼ぶ。
「神徒レジーナ様……ですよね?」
にっこりと、彼女――レジーナは顔全体で笑みを作った。
「お疲れさまです。ふふ……あなたような可愛い女の子もいるのですね、今のブレイバーパラディンには」
第一声から、そんなことをいう。
きっと、コミュニケーションのための、お世辞なのだろう。
ユキは反射的にそう解釈した。なにせ、そういう彼女自身のほうが、よっぽど女性的な魅力に満ちているからだ。
「そんな……やめてください。私なんて、そんな――レジーナ様の前ではとても……」
レジーナを前にすると、こういうしかないのだった。
彼女の場合は、可愛いではなく、綺麗だとか、美人だという表現が当てはまる。その形容のほうが、的確であり正確だろう。
大人の気品にあふれているのも、ユキとは天と地ほども違っているところだ。
女性らしく長く伸ばした金髪が、とても美しい。ユキも、髪を長くすることを憧れを持っているのだが、似合わないだろうし戦闘の邪魔になるので、今のショートボブが長年続いている。
そしてもう一つ、レジーナの外見の中でも、もっともユキの目を引いたのが――彼女の二つの瞳だった。
その瞳の色は、まるで染料で染められたかのように、赤い輝きを放っていた。
詳しくはないけれど、あの色はたぶん、色素で出せるようなものではない。
瞳の色は黒、茶、青、緑などさまざまあるが、赤色というのは普通ないし、こんなにも深い色というのを見たのは初めてだ。
まるで瞳自身が光を放っているかのような、赤色。真紅。
赤色の瞳。真紅の瞳――。
神徒だからこそ持つ、何らかの能力の作用がそうしているのだろうと思う。そんな話を以前聞いたことがあった。
化神はその力を増すことによって、瞳の色が変化するのだ、と――。
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