二章 決戦に臨む者たち

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 しかしそれにはやはり、信頼のおけるパートナーか、もしくは優秀な部下が欲しいところだ。  何事も自分一人の力だけでは成り立たない。自らに近い思想を持ち、そして積極的に動いてくれる戦力は必要だった。  だが、すぐに思いつく人物は、現状いない――。  普段からそういう活動を続けていればいいのかもしれないが、あいにく人心掌握というのはユキの苦手分野だった。  そもそも下の人間を使うという行為自体の経験が薄く、また個人的にも不得意なのだ。  やはり茨の道は続きそうだった。  ユキは給水器を操作して、使い捨てのコップに飲料水を注いだ。徐々にコップが満たされていく様をぼんやりと見つめていた、ちょうどその途中でのことだった。  この水呑場のテントの入り口のほうで、何やら土を踏み鳴らすような音が聞こえたのだ。  すでに夜はそれなりに遅い。  こんな時間に誰かやってきたのだろうか?  やってくる相手によっては少し面倒だ。軍人という職業柄、我の強い人間も多く、案外対立し合う個人は多い。ユキは敵を作らないように心がけているが、それでも相性の悪い相手というのはいる。  特にブレイバーパラディン以外の階級の相手なら、なおさらだ。対応が難しい。悪しき暗黙のルールは、戦場でも変わらず適用されているのだった。  テントをくぐって、誰かがやってきた気配がした。入り口のほうで影がゆらりと動くのが見えた。  そしてすぐに、灰色の軍服が現れた。ブレイバーナイトの軍服だった。 「――おっ」 「あ……」  お互いに、はっとした顔をしていたと思う。  そこに現れたのは、ブレイバーナイト、現在の『シロガネ』クラスの首席である、ミーアだった。
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