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ミーアの言い分を無視して、ユキはいった。
「じゃあ、あなたは、クラスメイトちゃんってことになるけど」
あまり上手くはなかったかも――。
ムキになって、余計なことをいってしまって少し後悔した。
ミーアはニヤリと笑みをこぼした。
「へぇ、クラスメイトね。それって、あたしは誰にとってのクラスメイトちゃんなの?」
「え……そ、それは……」
思わぬところで反撃を受けてしまった。
それを掘り下げられたくないから、幼馴染ちゃんという呼び名に反抗していたのに――。
ミーアのいう幼馴染ちゃんというのは、ユキがハンスにとっての幼馴染だからということで、彼女が勝手につけた呼び名だ。
だから同じように、ハンスのクラスメイトであるミーアを皮肉ったつもりだったが――逆に揚げ足を取られてしまったらしい。
「そんな本気で困った顔しないでよ。悪かったって。でも、幼馴染ちゃんって響き、けっこう気に入ってるんだよね。幼馴染ちゃん――なんか良くない?」
ミーアは楽しそうにする。
「もう……好きにしてください……」
元々、以前からたびたびそう呼ばれている。今さら強く訂正を求めるつもりはないのだ。いったところで、たぶんミーアは改めたりしない。
「それよりあなたこそ、こんな時間にどうしたの?」
ユキは気を取り直して訊いた。
「ん? どうしたもこうしたもないよ。水呑場にくるのは水が飲みたいからじゃん?」
「そ、そうだけど……」
それ以上でも以下でもない、当たり前の返答だった。
こういわれると、自分の質問のほうが悪かったのではないかという気持ちになってくる。
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