二章 決戦に臨む者たち

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「その前に一矢報いたいもんだな。――幼馴染ちゃんの部隊はどうなの? こんな状況でもちゃんと機能してる?」  幼馴染ちゃん、はもう気にしないことにする。  そしてミーアの質問については、無条件に首を縦に振ることはできなかった。士気が落ちているのは、痛切に感じているところなのだ。ミーアもそれを感じていての質問なのだろう。 「やっぱり敗戦が見えるからかな……。思うようにはいってないです」  そうだろうなあ、とミーアはため息混じりにいった。  ミーアにしては珍しい反応だと思った。ましてやため息をつくなんて、これまで見たことのない光景だ。  常に凛とした姿勢を崩さない彼女には、階級の壁を越えて称賛している部分があった。  正直にいうなら、尊敬しているほどだ。パラディンだとかナイトだとかの枠組みがないなら、ユキはミーアの部下になってもいいと思えるくらいだった。  だからこその意外性だったのだ。 「こっちのほうもそうだよ。隊長さんのパラディンですらもね。隊長なのに、うーんちょっと、なんか物足りないんだよなあ。――ねえ、幼馴染ちゃんの同僚なんでしょ? なんとかなんないのかなあ」  ミーアの上司にあたるのが、パラディンの誰なのかはわからなかった。もしかすると、ユキの『ショウリュウ』クラスではなく、隣の『テンマ』クラスの人間かもしれない。  しかし名前を聞けば、ユキの知る人物であることは間違いないだろう。  ただ、それはあえて聞かないことにした。他人の悪口をいう展開にはしたくなかった。 「同じ階級の者として、それは謝るしかないです。でもやっぱり、みんながみんな、強い心を持ってるわけじゃないから……」  たとえ能力や才能があっても。精神面の安定性においては、それに単純比例するわけではない。  天才型の人間はなんでもできてしまうがゆえ、ハングリーさに欠けるというのはままあることだ。  パラディンがみな、不屈の精神を秘めているわけではない。
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