二章 決戦に臨む者たち

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「レジーナ様が仮にどんな結果に導いてくれたとしても、『AL作戦』だけではアルディスの勝利とはならないから、戦争はまだまだ続くと思う――」  だからこそ、ここでミーアをつなぎ止めておきたいという気持ちになった。戦争の勝敗に関係なく。 「当然そうだね。まだヤツらの親分が出てきてないからな。勝つにはどのみち、向こうの領土を侵攻することになる」 「うん……。それで――もしよかったら、そのときは私と同じ隊でいっしょに戦ってくれないかな?」  ミーアといえども、その申し出は予想できていなかったらしい。一瞬だけ、表情をなくして固まった。 「――嬉しい申し出だけど、あたしの判断で勝手に隊を変えたりはできないよ?」 「もちろん、わかってるよ。それは私も同じだから。――だからこれは未来に向けてのお願い。ミーアがパラディンに昇格したときでもいい。そのときには、いっしょに戦ってほしいな」  信頼のおけるパートナーがほしい――。  これは以前から、考えてきたことだった。  もちろん、ベルトラムもシェイラも、頼りになる良きチームメイトではある。けれどそこには、実力や年齢や実績といった、見えない微妙な格付けが存在していて、やはり対等というわけにはいなかいのだ。  パートナーというよりは、上司と部下のような関係であり、いつまでも彼らに頼っていてもダメだと思う。  その点では、実力が近くて、歳も近くて、考え方も共感できて、そして頼りになる――そんな相手を考えたとき、ミーアは気になる存在ではあったのだ。  なぜ、彼女だったのだろう?  それはユキ自身もまだ上手く説明できないが、ミーアには頼りたくなるような何かを持っている。  実力や立場としては、現段階ではユキのほうが上になるのだが、不思議とミーアのことを姉のように慕いたくなる自分がいるのだった。
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