二章 決戦に臨む者たち

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 それが彼女の持つ人間性であり、雰囲気なのだろうけれど――。  ユキの申し出がさすがに唐突すぎたのか、ミーアはしばらく口を閉ざしていた。  けれど、無下に断るというつもりもなさそうだ。それならすでにそう口にしているだろう。  何かを考えている――そう見える。 「ふふん。いやまさか、幼馴染ちゃんにそんなこといわれるなんてな……」 「……迷惑だった?」 「そういうんじゃない。驚いてるのと――縁って怖いなって、思って」 「縁? それってどういう――」 「いや別に」  なんでもないんだ、と、ユキの言葉をミーアは遮った。  縁というなら、すべての出会いは縁によるものだと思うが。 「断る理由はないよ。うん。あたしも幼馴染ちゃんには興味があるかな。ブレイバーとして負けてるとも思わないし、そういうストイックっぽいところも、嫌いじゃないよ」  好き、ではなく、嫌いじゃない、という表現の遠回りさが、ミーアらしいと思った。実力に関していえば、ユキだって負けているつもりはない。 「……うーん、でも、あの先輩とはあんまり、組みたくないけどなあ……」 「あの――って、もしかしてシェイラさん?」  二人が共通で面識があって、しかもミーアが苦手そうな相手となると、それ以外の選択肢はなかった。 「そうそう。この間の件もあったし……。あれ以来、彼女とは顔も合わせてないからな。次に会うときがちょっと怖いなあ」  ミーアは苦笑いをする。彼女でも、恐れを抱くことがあるらしい。  まあ、この問題は戦闘云々ではなく、人間関係上のややこしさなので、ミーアの気持ちはわかる。ユキもあのデオグラスト任務の撤退のときは、シェイラの厳しい仕打ちに晒された。  そのことで不満があるわけではないが――シェイラについては、ユキも一定の距離を置きたいと思う相手なのだった。
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