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「あたしはさ、キミのいいところを、たくさん見つけたいと思ってんだ。だから、いろいろ絡んでるわけ」
いきなり、そんな人間的なことをいわれると思っていなかった。
ミーアとは、友人というわけでもなく、同僚というにも少し距離が離れている間柄だ。
何か裏があるのではと、無意識のうちに警戒してしまう。
「ま、キミを動揺させるには、彼の話題を出すのが一番だってことは、まずわかった」
やっぱり、そういうところなの?
結局のところ、それでいつも、ちょっかいをだされているのはわかっている。
「でもなんかそれ、矛盾してない? いいところを見つけるなら別に、からかわなくてもいいのに……」
少し不満を漏らしてみる。
「そうかな? 自分にとって都合の悪いこといわれたときほど、人間って本性が出ると思わない?」
まったく悪怯れるそぶりもなかった。
ということは、ハンスとの仲をあれこれいわれるのも、意図的に困らせようとしているわけか――。
「それは、あるかもしれないけど……。えっ、じゃあ、なんなの。私の本性を引き出そうとしてるわけ?」
はたしてミーアはそこに、何らかの意味を見いだしているのだろうか。
それなりに関心を持たれている証拠だろうが、彼女の性質を考えると違和感がある。
「ああ……そうかもね。キミの本性がいったいどんな色なのか、興味津々なわけ。今のところ、真っ白な純真無垢って印象だけど」
「そんな――そんな、お姫様みたいな人間じゃないよ、私」
無垢な人間は、兵士にはなれない――。
無垢な人間は、ブレイバーにはなれない――。
無垢なままで、誰かの命を奪うことなんてできない――。
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