二章 決戦に臨む者たち

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「あたしはさ、キミのいいところを、たくさん見つけたいと思ってんだ。だから、いろいろ絡んでるわけ」  いきなり、そんな人間的なことをいわれると思っていなかった。  ミーアとは、友人というわけでもなく、同僚というにも少し距離が離れている間柄だ。  何か裏があるのではと、無意識のうちに警戒してしまう。 「ま、キミを動揺させるには、彼の話題を出すのが一番だってことは、まずわかった」  やっぱり、そういうところなの?  結局のところ、それでいつも、ちょっかいをだされているのはわかっている。 「でもなんかそれ、矛盾してない? いいところを見つけるなら別に、からかわなくてもいいのに……」  少し不満を漏らしてみる。 「そうかな? 自分にとって都合の悪いこといわれたときほど、人間って本性が出ると思わない?」  まったく悪怯れるそぶりもなかった。  ということは、ハンスとの仲をあれこれいわれるのも、意図的に困らせようとしているわけか――。 「それは、あるかもしれないけど……。えっ、じゃあ、なんなの。私の本性を引き出そうとしてるわけ?」  はたしてミーアはそこに、何らかの意味を見いだしているのだろうか。  それなりに関心を持たれている証拠だろうが、彼女の性質を考えると違和感がある。 「ああ……そうかもね。キミの本性がいったいどんな色なのか、興味津々なわけ。今のところ、真っ白な純真無垢って印象だけど」 「そんな――そんな、お姫様みたいな人間じゃないよ、私」  無垢な人間は、兵士にはなれない――。  無垢な人間は、ブレイバーにはなれない――。  無垢なままで、誰かの命を奪うことなんてできない――。
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