12人が本棚に入れています
本棚に追加
アルディストンへ移住して、アカデミー生となって、武器を握ったことで、ユキは初めてそのことを知った。
いや、違う。本当の意味で知ったのは、それよりずっと後――四年ほど前のことだろうか。
リーシェという一人の先輩から、ブレイバーとは如何なるものであり、どうあるべきなのか、それを教えられた。
尊敬するとても大切な先輩だった。
いや、今でも変わらず、大切な先輩だ――。
ミーアはわかっているはずだ。汚れのない兵士など存在しないことを。彼女とて、けっして甘い道を進んで来てはいないはずだった。
「ふうん。じゃ、あたしの目が節穴なのかな? ま、でもたしかに、お姫様はちょっとか弱すぎかな? それは間違いだったかもしれない。――でも、女の子だよね。キミは良くできた女の子だよ」
「そういうのは、貴族の娘とかをいうんじゃないかな……?」
けっして良くできた、などとは思わない。むしろ欠陥だらけだ――。
「ああ、いや」
そうじゃないよ、と、ミーアは手をひらひらと振る。
「なんていうか、女の子らしい、ってこと。たとえば異性から見ると、魅力的に見える女の子――って感じ。まあ、あたし男じゃないけど、そうなんじゃないかな」
まさか――そういう話だとは思わなかった。
端的にいうなら、ミーアは色事について話しているのだ。男女の恋愛の話をしている。
まるでイメージになかった。どちらかといえば、ミーアは頑固そうでストイックな軍人という印象だったのだ。
むしろ女の子らしいのは、ミーアのほうじゃないだろうか?
どちらかといえばユキのほうが、そういう話題には関心がなかった。それはもう、本当に、嘘ではなく、関心がないのだ。
最初のコメントを投稿しよう!