二章 決戦に臨む者たち

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「別にそんな……興味ないです。男性を異性として見ることなんて……」  あえて避けているといってもいい。特にブレイバーであるときは、性別の違いは、努めて忘れようとしてさえいる。 「彼さえいれば、十分だもんね」  どきりと、心臓が高鳴った。何がいいたいのかはわかる。 「それは……」  俯くしかない。  できることなら、ハンスのことすら、この戦争中は忘れてしまいたいくらいなのだ。でないと、不安で胸が張り裂けそうになる。  いつどこで、最期の時がやってくるのかもわからないのだから――。 「ほら、やっぱり。女の子の顔になった。そのいじらしさは天性のモンだな」  愉快そうに笑ってから、ミーアは飲み物を口に運ぶ。  騙されたような気分だ。いや、からかわれているのか。 「やめてください。――私にもいわせてもらうなら、ミーアのほうが全然、女の子として魅力的だと思うよ。私は絶対、あなたのようにはなれないから……」  ハンスもきっと、彼女が放つ魅力に気づいているのだ。だからこそ、二人は近い距離にいる。  ナイトの仲間どうしというのもあるけれど、それ以上に、お互いに関心を持っているのだろうと思う。  もし、ハンスが彼女に惹かれているなら――。  いや、そんなことは、考えたくもなかった。 「はは、冗談はよしてよ。これのどこが女の子なのさ? あたしみたいになんて、なれたとしてもならないほうがいいよ」  ミーアは珍しく自虐的だった。かつ、自分自身への不満さえ、僅かに感じられる。  女の子らしい色恋沙汰を話題にしたと思いきや、自分は女の子らしくないという。やはりまだ掴みどころがない印象だ。
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