二章 決戦に臨む者たち

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「ちょっと、羨ましいくらいだよ」  ぽつりと、ミーアは呟く。  羨ましい――?  誰が?  いや、この場合、ユキのことをいっているのだろう。それがにわかには信じがたいのだ。 「キミのその……体型とか。――うーん……なんか柔らかそう」  そういって、ユキの全身に視線を動かしたのがわかった。 「な、なっ!?」  体型っ――? 「抱きしめると柔らかそうな感じ」  ミーアは続けざまにいう。そんなこと、生まれて初めて聞かされた。  わけもわからないまま、顔だけが熱くなっていくのを感じた。 「……えっ……ええっ!?」  どう答えていいのか、わからなくなった。 「たから、冗談だって」  ミーアは呆れたように、半分は笑いながらそういった。 「でも、柔らかそうなのはほんと。――ちょっと触ってみてもいい?」  照れ隠しの恥ずかしさから、今度は怒りを含んだ恥ずかしさに変わった。 「……もうっ! ダメですっ!」  やはりどう転んでも、ミーアにはちょっかいを出されて、からかわれる運命にあるらしい。きっと今後、同じ隊を組むことになっても、そうなのかもしれない。  結局のところ、この不思議な苦手意識は変わらない予感がした。  にやけていたミーアは、しかし唐突に表情を真剣なものに戻した。真剣でありながら、どこか母親のような、大きな包容力のある瞳が、ユキを射抜いていた。  ミーアの初めての顔だったと思う。どきりとするくらいに、情に満ちた表情だった。
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