二章 決戦に臨む者たち

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 これはハンスにすら、まだはっきりと伝えてはいない想いだった。そう考えると、ミーアの言い分もわかる気がする。  せめて一度、ハンスと正面から向き合うべきかのかもしれない――。  答えを出すことはできないにしろ、お互いのために納得し合うことは必要なのかもしれない――。  わからない――。本当に正しい答えなんて、わからない。  視界がぼんやりと滲んできた。ミーアに見られることを拒む気持ちがありながら、しかし拭うことはしなかった。  やがてそれは、滴となって頬を伝っていった。  水呑場の外から、虫が鳴く声が聞こえてくる。それに気づく程の沈黙が落ちて、そして続いていた。 「それが……キミの哲学なんだな……」  やがて呆れたように、諦めたように、ミーアはいった。ここまで続けてきた二人の会話の、一つの答えが出たような瞬間だった。 「哲学――哲学かあ……。そうなの……かもね。そういうものなのかもしれない……」  少し声が震えていたけれど、もう気にしなかった。ミーアの前でなら、いいのかもしれないと、そう思えたのだ。  ユキは人差し指で、涙の滴を拭った。  もう、決めたのだ。  デオグラストの任務が、あのとき感じた喪失感が、ユキを変えたともいえる。  本当の幸せは、戦場にはない――。  たとえハンスが隣にいたとしても、戦場に幸せは存在しない。  終わらせなければ、生まれない――。
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