二章 決戦に臨む者たち

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 中身を飲み干した使い捨てのカップを、ミーアはゴミ箱に捨てた。そして、水呑場を出ようとする。 「ねえ、ミーア――」  ほとんど無意識のうちに、ユキは声をあげていた。 「もしかしてミーアも……好きなひとがいるの?」  なぜ、そんなことを訊いたのか、理論立てて説明することはできない。  ただ、犯してはならない領域のギリギリを見極めたとき、ふっと浮かんできた質問が、これだったのだ。  背中を向けていたミーアが、ゆっくりと半身だけをこちらに回した。 「いないよ」  そういったミーアの表情は、一切の動揺を浮かべることなく、普段通りの自信にあふれていた。 「あたしは誰も好きにならないし、誰も愛せない。そういう人間なんだよ」  氷のように冷たかった。  数々の死線をくぐり抜け、そして幾人もの命を奪ってきた、ブレイバーが放つ雰囲気をミーアはまとっていた。  ピリピリと空気が張りつめる。ユキのほうが圧倒されるくらいに――。  そして、くるりと踵を返したミーアは、今度こそ足を止めることなく、夜の闇へと消えて行った。
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