二章 決戦に臨む者たち

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 他に誰も持っていないということは、それだけで世間的には特異な存在と認識される。  確実なことだった。アルディス軍にとって、新たなる技術や武器を生むための、格好の研究材料であるといっても過言ではないだろう。  そういった良い方向の評価ならまだいいが、特殊な力は、それだけで異端とされる可能性もある。  たとえばあの、魔術のように――。  国の意思によって、公の場から葬られた、魔術のように――。  この能力が禁術の類いとして扱われたなら、いったいどうなるのだろう。自分はどうなってしまうのだろうか。  その不安に対する答えを握っている者がいるとするなら、それは他ならぬ目の前の彼女だけだった。 「なぜ――そんなことが……わかるんでしょうか? あなたの――レジーナ様の持つ、化神としての力なんでしょうか?」  最大限にぼやかした回答だった。  こんなことを訊いたからといって、何かあるわけではないのだが。 「うふふ、驚きましたか?」  レジーナは静かに首を傾ける。まるでイタズラをした後の子どものようだった。  イタズラ気分で秘密を暴かれてしまってはたまらない。この能力は墓まで持っていくつもりだったのだ。 「驚いたのもそうですが……それを知って、レジーナ様がどうしようと考えられているのか、正直、そっちのほうがとても気になります……」  背中にはじっとりと冷や汗が浮かんでいることに気がついた。心臓の音が聞こえてくる。  アルディス軍に公開されることだけは避けたいのだ。 「ふふふ、気を静めてください。――どうにもしませんよ。私は。変わった力があると、わかってしまっただけですから」  それもまた、おどけたような調子だった。
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