二章 決戦に臨む者たち

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 しかし、レジーナは冷静だった。  そんなハンスの反応をも、見越していたのだろう。 「私が今ここでいえることは、その力は、ほんの僅かに人間にだけ備わった特別なもの、だということだけです。先ほども申し上げたように、世界中であなただけに与えられたものというわけではありません。同じ力を持つ人間は、たしかに他にも存在しています」 「いるんですか。他にも――」  ええ、いますよ、とレジーナはいった。  当然のように、そしてすべてを見透かしたように。 「いずれそれが、わかる日が来るかもしれません。そのときにあなたは、自らの真実と向き合い、そして深く葛藤することになるでしょう――」  真実と、葛藤――。  葛藤するほどの真実なのか?  ハンスはそっと目を閉じた。  真っ暗な世界が広がる。そこで身体中のエネルギーに意識を集中すると、たしかにあの力が体内にあるのを感じた。  巡っている。くすぶっている。潜んでいる。  そこにたしかに存在する。  わからない。  なぜ、そうなるのか。  なぜ、真実と向き合うと葛藤することになるのか。  そして、なぜレジーナは、そんなことを予期することができるのだろうか。  やはりそれも、神徒たる力が所以となっているのだろうか。神徒とは、他者に宿る能力というか、エネルギーというのか、そういった特殊性を見抜く瞳を持ち合わせているのだろうか。  たしかにあの人間離れした赤色の瞳ならば、それが可能になるのかもしれない。そう思った。  あの瞳に見つめられたときに、ハンスは不思議な感覚に陥ったのだ。あの赤色に、吸い込まれそうにすらなった。  神徒レジーナに宿る力とは、何なのだろうか――。  それを知りたい。  化神とはいったい、どういう存在なのだろうか。 「あ、の――?」  弾かれるようにして、目を開いた。  ハンスはさらに訪ねようとしたが、それは叶わぬことだった。  まるで風にさらわれてしまったかのように、そこにはすでに、レジーナの姿はなかったのだった。
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